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北野作品を初めて観ました
──これまでに、北野監督作品をご覧になったことはありましたか?
実は一度もなくて、今回初めて観させていただきました。例えば「アウトレイジ」とか……、ああいうちょっと怖い感じのイメージが強くて。今回の作品も悪そうなおじいさんがいっぱい出てくるっていうから、怖いんだろうなと思ってたんです。でも周りからは「面白いから観たほうがいい!」ってオススメされていて。最初はドキドキしながら観てたんですけど、なんだかすごいコミカルで、自分が思っていた何倍、何十倍も親しみやすい作品でした。
──印象に残ったシーンは?
焼き鳥屋さんで「一龍会」のメンバーが輪になって話すシーンは、まさに会話劇ですよね。演劇みたいな雰囲気だなって感じました。漫才でもあり、コントでもあるような……。カメラワークも、中心にあるカメラが円を描くようにぐるりと人を撮っていくんですけど、必ずしも話してる人が映っているわけじゃない。画面の外からもセリフが聞こえてきて、自分もそのシーンに参加しているような気持ちになる面白い演出だと思いました。
みんなと離れてから、さらに絆が深まりました
──松井さんはSKE48を卒業されたばかりですが、「一龍会」のように、かつて一緒に活動した仲間と新たなグループを作るのはどう思いますか?
いいですね、あれぐらいの歳になったら(笑)。でも最近も昔のメンバーと集まりますよ。もちろん現役の子も。予定があうときにみんなで連絡取りあって。むしろSKE48に在籍していたときより、今のほうがみんなと会ってる回数が多いくらいです!(笑) 離れてみると、みんなが何してるのか気になるし、ふとしたときに「会いたいな」って思ったり。なので一度離れてからまた集まるっていうのは、さらに絆が深まるし、いてくれて当たり前だと思っていた仲間の大切さに気付くことができます。
──SKE48ではチームリーダーとしても活躍されていました。龍三親分の姿から何か感じたことはありますか?
私、あんまり具体的なリーダー像を持ってなかったんですよ。「向いてないなあ」なんて思いながら。周りの子たちがいつも助けてくれてたから続けられて。だから龍三親分みたいな人には憧れますね。自分とまったく違うタイプ。みんなが付いて行こうと思うリーダー、カッコいいです! 私たちの場合は、ライブやレッスンのときにトラブルが発生すると、それをみんなでフォローしあわなきゃいけなかったり。そういう中で団結力が強まっていきました。誰かのことを思って何かをする、でもそれは見返りを求めるわけじゃない。そこが、「一龍会」の活躍を観てすごく共感できた部分です。
松井玲奈(マツイレナ)
1991年7月27日生まれ、愛知県出身。2008年、SKE48の1期生としてオーディションに合格しデビューを飾る。その後、AKB48に選抜入りを果たすなどグループの中心メンバーとなり、2014年からは期間限定で乃木坂46の活動を兼任。2015年8月31日に行われた公演をもってSKE48を卒業した。主な出演作に、ドラマ「マジすか学園」「マジすか学園2」など。2014年公開作「gift」で遠藤憲一とダブル主演を務め、2015年にはテレビアニメ「電波教師」で声優初挑戦。現在、ニッポン放送「ミュ~コミ+プラス」に月曜アシスタントとして出演している。
取材・文 / 金須晶子 撮影 / 笹森健一
「親分なんか決めないでがんばろうぜ」って思う
──アウトローなキャラクターがたくさん登場する「龍三と七人の子分たち」ですが、いかがでしたか?
実は私、けっこう怖いのが苦手で……ヤクザ映画はあんまり観ないんですよ。ホラー映画も苦手で。行くのか!?行かないのか!?っていうのにドキドキしちゃうんです。でもこの映画は全然大丈夫でした。なぜかと言うと、凶器はたくさん出てくるけど、テンポがいいから怖くないんですよね。龍三が自分の指を切り落とそうとするシーンも、ジリジリ見せるんじゃなく、ストンって終わる。そのヒヤヒヤが効果的に一瞬現れて去る。私が嫌いだったのは、凶器の緊張感で画を持たせようとする映画でした。
──日頃からたくさん映画をご覧になるというコムアイさんにとって、やはりテンポは大事ですか?
以前は、ストーリーがよくて、整っていて、いい芝居をしていればOKだと思ってたんです。でも音楽を始めてからですかね……MVとかの影響かな? カットのつなぎやテンポの歯切れがいい映画がよく感じるようになりました。「龍三と七人の子分たち」は、会話劇のテンポがよくて。特に巻き戻して観ちゃったのが、焼き鳥屋のシーンです。そもそも、「なんでこの歳になって親分とか決めないと行動できないんだよ!」って思うんですけど(笑)。私がこの歳になったら、「親分なんか決めないで、兄弟でうまく立ち回ってがんばろうぜ」ってなると思います。
親分に大事なのは、かわいげじゃないですかね?
──笑いどころ満載の本作ですが、コメディ映画はお好きですか?
“笑い”だけが目的になっているような映画は、あまり進んで観ないかも。私、たくさん笑いましたけど「龍三と七人の子分たち」はコメディだとは思いませんでしたよ。コメディのために作ってないというか……。カッコいい姿を見せる合間の“笑い”が、テンポよく見せる役割を果たしているなと。ヤクザを真剣に演じると、こんなに笑えるんだなって(笑)。
──個性豊かな“ジジイ”たちが新たに結成した「一龍会」ですが、イチ押しのキャラクターを教えていただけますか?
難しい……! (しばし考えて)やっぱり、龍三さんですかね。藤竜也さんの目が終始かわいくて。動物の目をしてるんですよ。ナショナルジオグラフィックに出てきそうな(笑)。せがれに叱られたとき、強気の龍三さんが目をパチパチさせるんですけど、それが本当にかわいそうになっちゃって……。情けない面もある龍三さんですけど、みんなから慕われる理由がわかります。親分に大事なのは、かわいげじゃないですかね?本人はイキがっているつもりなのに、隙があって、みんなに愛される親分。かわいいなあって思います。
水曜日のカンパネラ(スイヨウビノカンパネラ)
コムアイ
1992年7月22日、神奈川県生まれ。水曜日のカンパネラの主演・歌唱担当。高校生時代はNGOやNPO活動に力を注ぎ、キューバで同世代100人のスナップ撮影とインタビューを敢行した。2012年、ケンモチヒデフミとDir.Fに出会い、水曜日のカンパネラへ加入。同年に初のデモ音源「オズ」「空海」をYouTubeに配信し、本格的に活動開始する。2013年よりライブ活動をスタートさせ、「クロールと逆上がり」「羅生門」と立て続けにアルバムを発表。全国各地のイベントやフェスへ精力的に参加しているほか、MVの多さも話題に。2015年、コムアイ単独で「ヤフオク!」のCMに出演を果たした。11月11日にはニューアルバム「ジパング」がリリースされる。
取材・文 / 金須晶子 撮影 / 笹森健一
本読みやって、耳が遠い人がいるのがよくわかった(笑)。
──『アウトレイジ』のようなバイオレンスの方向に行かず、コメディ要素多めな映画になりましたね。
『アウトレイジ』の1作目から2作目にかけて暴力がエスカレートしてきていたから、ワンクッション入れてストーリー性のあるものを作ろうかと思ってね。ヤクザ映画はまともに撮ったらすごく痛い。でも、それは反対側にまわってみるとお笑いの要素が十分あるんだよね。
介護しなきゃいけないようなジイさんが暴れたときのバカバカしさってのが昔から頭にあって、自分で話を書いたりしてたんだけど、最近オレオレ詐欺なんかが増えてきて、ちょうどいいやって(笑)。年寄りは本当に「俺たちに明日はない」って思ってるから、やる気になったら一番怖いんだよ。
──お年寄りだらけの撮影はどうでしたか?
撮影の前に本読みをやってもらったんだよ。自分の映画で本読みなんかやったことないんだけど、なぜやったかというと、役者さんの喋りの感じを知りたかったため。本読みやって、みんな耳が遠いのがよくわかった(笑)。カンペの字も小さすぎて読めねぇって言うし。でも、腕は確かなんで。具体的な技術論で説明する必要がない。あまり演技に対しては文句言わなくて済んだから撮影は楽だったね。
歳取っても趣味のように映画を撮っていたいね。
──バスの暴走シーンには、大ベテランだろうがご老人だろうが容赦しない、という監督の強い意志が表れているように見えました。
容赦しなかったのはスタントの人だよ。スタントの人たちって、自分の運転に集中しすぎてテンション上がっちゃうから(笑)。そこで遠慮しちゃうと、映像の迫力がなくなってあの人たち落ち込んじゃうんだよ。役者たちはみんな必死でつかまってたみたい。でも、藤さんは指を詰めてる役だから指3本でつかまっていて。普通につかまればいいって伝えたんだけど、「いや、役ですから」って。その後「死にそうになった」って言ってたよ(笑)。
──バンドネオンの音色にすごく哀愁が漂っていて、純粋なコメディではないなというのが伝わってきます。
ジイさんたちと若いやつらのギャップが、ストーリー展開の中でお笑いに変わっていくんだけど、よく考えたら孤独なジイさんたちが若いやつらに騙されてっていう悲しい話でもあるんだよね。初めは大爆笑でいいんだけど、そのうち悲しい部分もあるって気づいてもらえれば、こっちの作戦通りだね。
北野武
1947年1月18日、東京生まれ。1989年、『その男、凶暴につき』で監督デビュー。以降『3-4x10月』『ソナチネ』『みんな〜やってるか!』などの作品を世に送り出し、7作目の長編『HANA-BI』が、第54回べネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。日本映画としては40年ぶりの快挙となった。その後も、日英合作の『BROTHER』、第60回べネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞した『座頭市』、映画への思いを描いた『監督・ばんざい』などコンスタントに作品を発表。近年では、“全員悪人”のバイオレンスエンタテインメント『アウトレイジ』『アウトレイジ ビヨンド』を手がけ、話題を呼んだ。『龍三と七人の子分たち』は、17作目の長編監督作品となる。
取材・文 / 岡大 撮影 / 笹森健一
歳をとったおじいちゃんたちがちゃんと素敵に見えてきますよね。
──ジジイたちが大暴れする映画とは一見接点がなさそうですけど、ご覧になっていかがでした?
実は私、普通の女の子に比べると、いわゆるヤクザ映画のジャンルには慣れてる方だと思うんですね。お父さんが『難波金融伝・ミナミの帝王』シリーズとか大好きで、「わぁ、ディープでコワそうな世界やなぁ」と感心しながら一緒に観てました。だけど私が知ってた映画のイメージが根本から覆された気がしました。会話のテンポが最高で、いちいち漫才を見てるみたいなんですよね。お年寄りの元ヤクザと“オレオレ詐欺”の若者集団がずっと噛み合わない話を続けるシーンとか、思わず爆笑しちゃいました。吉本新喜劇で育った私には理屈ぬきでしっくりきます(笑)。
──龍三たちのキャラクターについてはどう感じましたか?
この映画って、歳をとったおじいちゃんたちがちゃんと素敵に見えますよね。もう引退して、質素な暮らしをしているのに、若くてイケイケな京浜連合よりずっと魅力があります。しかもそのカッコよさは、『ミナミの帝王』っぽいギラギラ感ともひと味違っていて……どこか切なさも感じるんですよね。
この映画を観て「今この瞬間をもっと懸命に生きよう」って感じました。
──龍三たちは自分たちが時代遅れであることを受け容れている気配がありますよね。
映画を観ててふと思ったんですけど、歳をとってもパワーが薄れないのは、きっと若い頃に全力で生きた記憶が大きいんですよね。だって龍三さんたちの生き方って、昔と全然変わってない感じがしませんか? 強きを挫き弱きを助けるっていうのかな。「このおじいちゃんたち、ずっとそうやって生きてきたんやろな」という気配が伝わってくる。ヘンな感想かもしれないけど、私、この映画を観て「今この瞬間をもっと懸命に生きよう」って感じました。この瞬間をどれだけ本気で生きてるかで、チャーミングなおばあちゃんになれるかどうかが決まる。そんなことも教えてもらった気がします。
──一龍会の“グループ力”もすごかったですね。
私自身、Dreamというグループを13年間続け、今はE-girlsのリーダーもやらせていただいてるので、そこはすっごくリアルでした。メンバーの波長が完璧に合ったときって、ソロでは絶対に出せない巨大なパワーが創れるんですね。それには各自が甘えることなく、常に切磋琢磨してなきゃいけないんですけど……でも、気心の知れた仲間と一緒にいられる心強さは、やっぱり大きい。だから再結集して生き返ったおじいちゃんの気持ち、分かりましたよ(笑)。
Dream / E-girls
Aya
1987年生まれ大阪出身。2002年7月にガールズエンタテインメントグループ・Dreamのメンバーとして加入し、ほかのメンバーの加入や脱退を経て、2012年より現在の4人組体制に。起伏に富んだ道を歩みながらも2014年11月にリリースしたシングル「ダーリン」は、グループ結成14年目にして最高位となるオリコンウィークリーランキング4位を記録した。また、2011年からLDH所属の女性グループのメンバーを中心に構成されたE-girlsとしても活動しており、Ayaはリーダーを務めている。
取材・文 / 大谷隆之 撮影 / 笹森健一
個人的にはもっとヤケッパチで、アナーキーな“狂気”を感じました。
──「ウヒョッ! 東京都北区赤羽」をはじめ、清野さんのマンガにはパワフルな高齢者がたくさん登場しますね。そんな“観察者=清野とおる”の目には、この映画はどう映りましたか?
いやぁ、恐ろしかったですねぇ。笑いで偽装されてはいるけど、個人的にはもっとヤケッパチで、アナーキーな“狂気”を感じました。普段、赤羽で強烈な爺さん方と接している僕には、リアルに感じられる部分も多くて……。映画ほど破天荒じゃなくても、ああいうディープな老人って実際にいるんですよ。金はないけど暇はあり余ってて、下手に関わりあうと、若者以上にタチが悪かったりする(笑)。それこそ「金無し、先無し、怖いモノ無し!」のコピーじゃないけど、この3つを失うと人間「何でもアリ」になっちゃうんですよ。なので映画を観ながら、「こういうジジイに関わるとやばいぞ!」って心の中で何度も叫びました(笑)。もしかしたら北野監督は、「老人=社会的弱者」なんて既成概念をぶち壊したかったのかもしれませんね。
──とりわけ印象的だったシーンを挙げると?
パッと思い浮かぶのは、一龍会を結成した8人がサウナに出掛ける場面。みんなで休憩スペースに陣取り、わいわい喋りながらビール飲んだりして……
歳も取ったしお金もないのに、すごく楽しそうなんですよね。赤羽の居酒屋やスナックで定点観察してると、年配の男性はたいてい1人で飲んでるんですよ。年齢を重ねるごとに、ワイワイ騒げる友だちが少なくなっていく。映画の中の龍三と子分たちも、1人でいる場面はやっぱり孤独そうじゃないですか。だからこそ彼らが中学生みたいにはしゃいでる表情を見ると、ジジイになるのも悪くないかなって思えて。ちょっと嬉しくなるんです。
登場人物のキャラ立ちが改めて半端じゃないですよね。
──もし赤羽の街で龍三たちを見かけたら、思いきって声を掛けて話を聞いてみますか?
うーん、どうだろう。龍三みたいなジジイになりたいという憧れはあるけど、もしスナックで隣り合わせても話しかける勇気はないかも(笑)。龍三だけじゃなく子分もそう。すぐ拳銃をぶっ放すジジイとか、怪しげなステッキを手放さないジジイとか、強烈すぎて僕の手には負えません(笑)。でも、こうやって改めて思い出していくと、この映画って登場人物のキャラ立ちが改めて半端じゃないですよね。こういう群像ドラマって、誰がどんなキャラだったのか途中でゴッチャになることも多いでしょう。でも「龍三と七人の子分たち」の仲間は、小道具がいちいち個性的だったりして、出てきた瞬間に記憶に焼き付く。そこもすごいと思います。もしかしたら8人それぞれが北野監督の分身で。自分の身代わりにスクリーン上で暴れさせちゃってるのかもしれないなぁ……なんて。そんな勝手な想像も掻きたててくれる映画でしたね。
清野とおる(せいのとおる)
ギャグマンガ家。1998年、週刊ヤングマガジン増刊赤BUTA(講談社)掲載の「アニキの季節」でデビュー。代表作は、奇怪な地元住民および珍スポットを描いた異色エッセイマンガ「東京都北区赤羽」シリーズ。同作を題材にしたドキュメンタリードラマ「山田孝之の東京都北区赤羽」には、清野本人も出演している。
取材・文 / 大谷隆之
「たけしさんカッコいいな」って改めて思いました!
──大久保さんは以前ビートたけしさんのファンクラブに入っていたそうですね。北野映画もすべて映画館でご覧になっているそうですが、『龍三と七人の子分たち』はこれまでの作品と違いましたか?
いつものたけしさんの映画のトーンに比べたら、ライトで観やすいと思いました。爽快な感じ。後半からバタバタバタって畳みかけていって、最後はわけがわからない感動があります。「なんかカッコいい!」っていう。私、『(ビートたけしの)オールナイトニッポン』をすごく聴いていた世代なので、その当時話していたようなヤクザの小ネタが普通に入ってきていてニヤニヤしちゃいました。
女だからかもしれないですけど、ドンパチが多い『アウトレイジ』よりは、こっちのほうが楽に観られます。くだらなくて笑えて、「たけしさんカッコいいな」って改めて思いました(笑)。バスジャックとかセスナのシーンなんて、『お笑いウルトラクイズ』ですもんね。やっぱりたけしさんの、私の好きな笑いだなって。昔たけしさんが、「ジジイは先がないから何をやっても許されると思うし、何かをやろうとして暴走したら一番恐いぞ」って言っていたような気がするんですが、この映画ではそのことを思い出しました。
たけしさんの映画なら、若干の濡れ場もやります!
──女性目線・エロ目線で、ジジイたちの中で誰がよかったですか?
ベタだけど、藤竜也さんにいきますかね。成熟したジジイはカッコいいんですよ。やっぱりまだ顔がギラギラしていて、テカってますもん。刺青を見せるシーンがありましたけど、たるみ具合とかがいいんですよ。ちょっとカサついていたりするのが、たまんない。変にバキバキの筋肉より、哀愁を感じるんです。あれドキッとしますね。
観ていてちょっとうらやましかったのが、ちょいちょい出てくる女の人が、いい感じにリアルにブスなところ。自分で言うのもなんですけど、私も哀愁的なものはたるんできた背中から出ているんじゃないかと。中年のおばさんみたいな役で使ってくれないかなって。たけしさんの映画であれば、若干の濡れ場とかもやりますし(笑)。ファンクラブにも入っていたのでね。
同世代の女性に伝えたいのは、「ジジイってカッコいいよ」ということです。ジジイ狙いでいこうぜっていう。藤竜也さんは口説いてきたらもう全然ウェルカムですよ。小野寺(昭)さんとか、実際若々しいですし。下の世代が考えてることはわからないけど、ジジイはカッコいいし、かわいいし、男気がある。そういうジジイでも観に行く?って誘い合って観にいってもらいたいですね。
大久保佳代子(おおくぼ かよこ)
1971年5月12日、愛知県生まれ。92年、大学在学中に幼馴染の光浦靖子とお笑いコンビ、オアシズを結成し、同年にテレビデビュー。『めちゃ×2 イケてるッ!』や『ロンドンハーツ』などで見せた明け透けなキャラクターが注目を集めた。現在は『めちゃ×2 イケてるッ!』『白熱ライブ ビビット』『旅ずきんちゃん』『ゴゴスマ』『ゴチャ・まぜっ天国!』など、多くのレギュラー番組に出演中。バラエティ番組以外でも、テレビドラマ、舞台、執筆など幅広く活動している。2014年には、借金をしている女性限定のアイドルグループ、ザ・マーガリンズのゼネラルマネージャーに就任した。4月26日に同グループの2ndライブ「借金は“LIVE”で返せ 大久保佳代子と歌謡祭」への出演を予定している。
取材・文 / 遠藤敏文 撮影 / 小坂茂雄
パワフルなおじいちゃんたちの青春と
生き様を目に焼き付けてほしい
──『龍三と七人の子分たち』はいかがでしたか?
もうゲラゲラ笑わせてもらいました。特に、「はばかりのモキチ」役の中尾彬さんの扱いがひどすぎて最高でした(笑)。
でも、笑いだけじゃないんですよね。いきなり藤竜也さん演じる龍三がオレオレ詐欺に引っかかるとか、現代社会に対する風刺が込められていて。とにかく全編通して何が起こるか本当に分からなかったんですよ。エンディングまで1ミリも予想できない展開が素晴らしくてドキドキしました。極上のエンターテインメントだなと思いました。
──NAOTOさんのファンに勧めるなら、どういうところを推しますか?
パワフルなおじいちゃんたちの青春、生き様を目に焼き付けてほしいですね。この歳になっても第2第3の青春があるというのは、僕らも夢が持てると思うんです。こういうパワフルなおじいちゃんたちが日本を作ってきたわけだし、あらためて尊敬の念を抱きつつ、自分も日本を作っていく一員なんだという気持ちになってもらえると感じるんじゃないかと思います。
そして、エンターテインメント要素がふんだんに盛り込まれているので、たっくさん笑えて、日本を元気にしてくれる映画だと思います。
僕も龍三たちみたいにかっこよくて
チャーミングなジジイになりたい!
──藤竜也さんとは同じ映画に出演されたことがあるそうですね。
共演シーンはなかったんですが、『サクラサク』という映画の撮影中、楽屋でお会いしました。藤さんは激かっこいい! 渋すぎます。自ら役にストイックにアプローチしていく姿勢が本当にかっこよくて、すべてにおいて勉強になりました。そして、スクリーンに映っている藤さんはさらに輝きまくってます。今回は『サクラサク』のときと比べるとびっくりするぐらいの振り幅で同じ役者さんとは思えない。そこに圧倒されました。
──龍三をはじめ、「神風のヤス」「五寸釘のヒデ」など個性的なジジイがたくさん登場しますが、一番のお気に入りは?
みんなかっこよくてチャーミングだから、僕もそんなジジイになりたいと思えるキャラばっかりでした。でも、個人的には「早撃ちのマック」ですね。手がぷるぷる震えるからすぐ銃を撃っちゃうっていうのが、めちゃくちゃ面白かったです(笑)。あと、ストライプのパンツにボーダーのセーターを持ってくる「若頭のマサ」の絶妙な上級者ファッションセンスも好きです。
みんな別名みたいなのがあるのもいいですよね。EXILEのSHOKICHIに「目力のショウキチ」って付けたいです(笑)。僕もリーダーという言い方をやめて「三代目親分のナオト」にしようかな(笑)。
EXILE/三代目J Soul Brothers
NAOTO
1983年8月30日、埼玉県生まれ。20代はじめにダンス修行のため渡米し、ロサンゼルス最大規模のダンスイベント「CARNIVAL」などに出演する。帰国後、浜崎あゆみやAI、BENNIE Kらのバックダンサーを務め、2007年、二代目J Soul Brothersに加入。本場仕込みのダンスが認められ、2009年、EXILEにメンバー入りし、2010年からは三代目J Soul Brothersのリーダーを兼任している。また役者としても活動し、ドラマ「フレネミー〜どぶねずみの街〜」で主演を務め、田中光敏監督「サクラサク」では、緒形直人ら実力派俳優と共演を果たした。現在、情報番組「バイキング」の火曜MCを担当。3月25日には、EXILEのニューアルバム「19 -Road to AMAZING WORLD-」がリリースされる。
取材・文 / 岡 大 撮影 / 小坂茂雄
ジジイたちのやりとりがベタベタの昭和漫才みたいで、
ずーっと笑いっぱなしでした!
──昔ヤクザだったジジイたちの暴れっぷりはいかがでしたか?
もう悪い人ばっかりなんですよね。悪人ばっかり。僕は、けっこう人目を気にして悪いことをしないようにして生きてるんで、悪のワンダーランド、テーマパークに迷い込んだような気分になりました。北野監督の映画って、「二千円くれませんか?」という寸借詐欺と殺人が同じお皿に載って出てくるようなところに深みを感じるんです。ただ、『アウトレイジ』と違ってコメディタッチだし、義理人情みたいなものも描かれているから、ヒューマンドラマ、昭和のファミリードラマを観ているような感覚も覚えました。龍三の「義理も人情もあったもんじゃねえ」をメインテーマに観させていただいたんですが、悪いジジイたちのやりとりが完全に漫才だから、ずーっと笑いっぱなしでしたね。
あと、ジジイ役の皆さんがすげえ楽しそうなのも印象的でした。詐欺集団の連中よりも、ジジイたち8人のほうがはるかに人生をエンジョイしてるなって思いました。それと、藤竜也さんがこんな哀愁漂う表情をするんだなとか驚いているうちに、だんだんかわいく見えてきちゃって。途中からジジイたちみんな愛らしいなと思うようになりましたもん。
“虎殺しの壮”として龍三たちの仲間に入りてえ!
──龍三たちを見ながら、自分がどんなジジイになるかシミュレーションしましたか?
僕は年を取らないし、死なないと思ってるんですよ。20歳ぐらいの時に「40になっても俺は今と同じくらいのタイムで走れる」と言って、みんなに笑われてたんですけど、今実際そうなってるわけです。一昨年、マスターズ陸上の世界大会でメダルを獲って「俺、けっこうすげえな」って思ってたんですけど、その翌日、80歳以上の部の100mで日本人のおじいちゃんがぶっちぎりで優勝したんです。82歳で15秒って嘘だろって感じでしたよ。マラソンの世界記録のペースよりも速いんですから。マラソンの世界記録保持者を82歳のおじいちゃんが抜いていく瞬間を想像したら、夢があるなぁって感じちゃいますよね。
だから、俺も龍三ぐらいの年になっても今と変わらないんじゃないかって想像してるんですよ。もしあのメンバーに入ったら、やっぱり俺は“素手喧嘩(ステゴロ)”で行くでしょうね。動物と戦う時も武器らしい武器は使わない、自然にあるものしか使わないって決めてるんで。“虎殺しの壮”“熊殺しの壮”とかそんな名前で仲間に入りてえなぁって思いますね。
でも、実生活ではこの映画を参考にして「絶対に悪い事はしないぞ!」って心に決めました!!
武井壮(たけいそう)
1973年5月6日、東京都生まれ。大学3年の時に陸上・十種競技を始め、競技歴2年半余りで1997年日本チャンピオンに。その際の100mのベスト記録10秒54は、十種競技における100mの日本最高記録で未だ破られていない。その後ゴルフ、野球などさまざまなスポーツにチャレンジしつつ、芸能活動を開始。
2012年、バラエティ番組の「うもれびと」に百獣の王を目指す男として出演し、あらゆる動物と戦って勝つためのシミュレーションを披露して注目を集める。その後、多くのテレビやラジオ番組で出演して大ブレイク。インド映画『ミルカ』では海外映画への進出を果たした。
取材・文 / 岡 大 撮影 / 沼田知久
ジジイのバイブス最高‼
かわいくて母性本能くすぐられます!
──元々、北野監督の『アウトレイジ』がお好きだったそうですね。
そうなんです、1作目が大好きだったんで続編も観に行きました。『龍三と七人の子分たち』も同じ任侠ものってことで気になってたんですよ。恐いのかな?って思ってたけど、コメディタッチだと気づいてからは、見方のスイッチが変わってゲラゲラ笑っちゃいましたね。セールスマンがドアを開けたらジジイが部屋にいっぱい!っていうシーンとか。そりゃあビビるわ!みたいな(笑)。ヤクザのジジイの共同生活は、なかなかのインパクトがありますよ。出ている人たちはジジイですけど、絶対に若い子のほうが好きですよね。恐いのが苦手な子も全然平気だから、敬遠しないで観てほしい!
とにかくジジイがかわいすぎるから、女の子にもオススメですね。がっつり刺青が入っているのに、ヨボヨボなのがまたよくて、母性本能くすぐられます! 「じいちゃん! かわいい‼︎」みたいな。特に龍三さんが好きです。ちょっとおバカな部分があって、オレオレ詐欺にもあっさり引っかかっちゃうの!?って。それを支える若頭のマサさんとのコンビが素敵でした。早撃ちのマックもツボでしたね。それからクライマックスの中尾彬さん! ヤバいです。バイブス最高潮って感じで、今でも思い出して笑っちゃいます。こんなファンキーなジジイたちが身近にいたら楽しそう。私も負けずにマツエクつけて、ネイルもヘアカラーもするオシャレなおばあちゃんになりたいです!
テラスハウスのみんなと観てワイワイ盛り上がりたい!
──友達が多く、人とのつながりを大切にされている今井さんから見て、龍三と子分たちの絆はどう映りましたか?
昔の仲間たちが、1人ずつ集合するシーンは面白かったなぁ。あ、もう1匹おじいちゃんが増えた! 今度は杖ついてる! みたいな(笑)。そうやってまた集まれる関係っていいですよね。昔から変わらない想いを何十年もずっと貫いている龍三一派は、かっこいいな!って思いました。義理と人情って絶対に大事ですもんね。私も地元の友達とは今でも毎日連絡を取り合ってるし、テラスハウスのメンバーともいまだにつながってます。みんなでよく、結婚してお互いに家庭を持ってもバーベキューとかやろうね、って話してるんですよ。年をとっても、ずっと仲間としてやっていくんだろうなって思います。
──将来的には「老人版テラスハウス」も…!?
いやあ、面白いですよね、きっと(笑)。ヨボヨボになりながらも、いい関係であり続けたいですね。この映画も、気心の知れた友達と観に行ったら相当楽しいと思うので、まずは「テラスハウス」のメンバーに薦めたいな。観終わった後、「あのおじいちゃん、かわいかったね〜」ってみんなで盛り上がりたいです!
今井華(いまい はな)
1992年11月12日、埼玉県生まれ。2011年、ファッション誌「egg」でモデルデビュー。
異例の早さで人気を獲得し、初登場から3ヶ月後には同誌の表紙を飾る。男女の共同生活の様子を放送したリアリティ番組「テラスハウス」をきっかけに、その存在が広く認知されるようになった。
2013年には自身のアパレルブランド、FLOVEを立ち上げ、翌年の関西コレクションA/Wに出品。洋服以外にも香水やジュエリー、カラーコンタクト、ヘアアイロンなど、ファッションに関する雑貨のプロデュースを多岐にわたって行う。CMやバラエティ番組にも出演し、スタイルブック「it GAL」を出版するなど、タレントとして活躍の場を広げている。
4月12日に、関西コレクション2015 S/Sへモデルとして参加することが決定した。
取材・文 / 黛 木綿子 撮影 / 笹森健一
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